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平成28年度 岡山県子どもの読書活動推進連絡会 実施報告


テーマ

「家庭・地域で広げる読書の輪」

日時・会場

平成28年7月1日(金) 13:00~16:30
岡山県立図書館 2階 多目的ホール

参加者

70名(公共図28名、学校27名《うち高校3名、中学校7名、小学校17名》、
    ボランティア13名、教育委員会など2名)

主催

岡山県教育委員会

概要

①岡山県における子どもの読書活動推進について

岡山県教育庁生涯学習課

 平成25年3月策定の『第3次岡山県子どもの読書活動推進計画~おかやまどんどん読書プラン~』は今年度から後期に当たる。この第3次計画では未読率の減少に取り組んでおり、1か月に1冊も本を読まない子どもの数の半減を目標としている。昨年度は、中高生の未読に課題があったが、改善傾向が見られる。
 昨年度は、高校生おすすめの本の紹介ということで「もんげーBooks」を企画した。高校生や教員からおすすめの本を募集し、本の紹介文を載せたリーフレットを作り、全高校生へ配付した。また、保護者に対して、親子で楽しい時間を共有し、親子の絆を深める手段の1つとして「読み聞かせ」を理解してもらうとともに、図書館を利用してみようという気持ちをもってもらうために、親育ち応援学習プログラムを作成した。
 本年度は、昨年度に引き続き、「読書手帳」を作成し、活用希望学校へ配付するとともに県立図書館でも配付している。また、乳幼児のための読み聞かせの手助けとなるよう、保護者向けの「親子の読書活動ガイド(仮称)」を今年度中に作成する予定である。「読書手帳」「おもしろ読書事典」の活用も引き続きお願いしたい。事例などはHPでもお知らせしている。



②講演「家読で読みニケーション始めましょう」

家読推進プロジェクト代表 佐川 二亮氏

【当日資料はこちら】※資料提供:家読推進プロジェクト

発表の様子1

 佐川氏からは、朝読(あさどく)から家読(うちどく)、子ども司書へと展開していった読書推進の氏の活動の歩みと家読の進め方についてのお話をいただいた。
 千葉県の高校の先生とたった3人で始めた「朝の読書」運動について、その効果が認められ全国へと広がっていったこと。特に岡山県では旧落合町立落合中学校、県立鴨方高等学校での取組が先駆けであり、その実践報告をまとめた本は大きな反響を呼んだことなども紹介された。
 家読は、「家族ふれあい読書」の略語(造語)で、子ども達にも親しみやすいよう「いえどく」ではなく「うちどく」と呼ぶことにしたこと、朝読の家庭版として提唱しているが、朝読は先生達大人がその実践方法を考えたが、家読は子ども達とともに中身を考えたことなどをご説明いただいた。子ども達が考えた家読の方法とは①家族で同じ本を読む②読んだ本で話す③感想ノートを作る④自分のペースで読む⑤家庭文庫を作るというものである。特に感想ノートについては、朝読では、感想を求めることは強く戒めていただけに、子ども達から読書の記録を残したいという希望がでたときには驚き、本を読むことに慣れ、深く理解するようになると自然と記録を残したいと思うようになるもだとのお話には、参加者も大きく頷いていた。伊万里市の家読の取組の様子がビデオで紹介され、本を読むことで家族のコミュニケーションを深めるとはどういうことかということが映像を通して大変よく参加者に伝わり、子どもを中心に家族で本を読み、読んだ本の感想を話し合うということの大切さを実感した様子であった。さらに佐川氏からは家読では絵本がお薦めであるとし、一つの例として、大人も一緒に思いを寄せ合うことで、東日本大震災を扱った絵本の紹介もしていただいた。
 参加者からは「大人も一緒に読書を楽しむ、コミュニケーションが他人を思いやる心を育て、いじめをなくす。教育の原点を勉強できました。」といった声が寄せられた。



③子どもの読書活動優秀実践校・図書館・団体の取組発表(H28文部科学大臣表彰)

吉備中央町立吉備高原小学校 教諭 直原 政治 氏  学校司書 難波 梨江 氏

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 「吉備高原小学校 読書活動の取組について」と題して発表いただいた。吉備高原小学校は全校児童67名の小規模校であり、「しっかり考え、進んで取り組み、自他を大切にする児童の育成」を教育目標に掲げている。読書活動もその目標のもと、児童図書委員会を主体とした読書集会やスタンプラリーなど様々な活動が行われている。教員や学校司書による図書の時間や「わくわくお話タイム」等をとおした読書活動の取組のほか、PTAや地域ボランティアが主体となった活動も活発である。地域の図書館と連携した出前図書館や学習発表会の場を利用した読書アンケート、お薦めの本の展示、さらには県立図書館から学校図書館への図書の借り受けなど、PTAや地域ボランティアが主体となり学校と協働した取組は、参加者も自校の取組の参考となったものと思われる。



岡山市立高島中学校 学校司書 岡本 紀子 氏

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  現在は岡山市立鹿田小学校にご勤務の岡本氏より、前任校である岡山市立高島中学校での実践を発表いただいた。地域との連携した取組では、生徒が継続的に地域に出かけ様々な公民館行事などで活躍し、地域の読書活動の推進役となっていることに参加者も感心した様子であった。また、図書館教育の取組では、学校教育の中に図書館教育がきちんと位置づけられ、教科との連携やNIE活動などをとおして生徒の読解力の育成が図られており、学校司書が専任で配置され図書館教育のなかでキーとなる活動を行っている点に、参加者からは学校司書の重要性を指摘する感想も寄せられていた。岡本氏からは、専任の司書が全校に配置されている岡山市では同様な活動が日々行われていて、高島中学校だけが特別ではないといった御発言もあり、学校司書の必要性を強く認識させられる発表であった。



岡山県立津山高等学校 司書 森 友佳子 氏

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 岡山県立津山高等学校の取組について朝の読書活動を中心に発表いただいた。津山高校は併設型の中高一貫校であり、スーパーサイエンスハイスクールの指定校にもなっている。中高一貫校になったことをきっかけとして朝のショートホームルームが新設され、「朝の読書」に取り組むことになった経緯や、学校経営目標の「思考力」「発信力」「主体性」を伸ばすことを目的としていることなど説明があった。また、取組後の生徒の変化については図書館アンケート結果を基に、未読率については実施前43%であったが、実施後の平成27年度は15%と大きく改善されたこと、「朝の読書」の時間が役に立つと答えた生徒が80%に上ったことなどの報告があった。未読率は全国平均が52%であるから津山高校の生徒がいかによく本を読んでいるかが伺われ、参加者も「朝の読書」の効果を改めて感じた様子であった。



久米南町図書館 久米南町図書館司書 國忠 敬子 氏

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 「きてみて!久米南町図書館」と題して、久米南町図書館の取組を発表いただいた。学校と連携や図書館サービスをとおして久米南町図書館の子どもの読書活動推進の取組を10のアプローチによって示された。久米南町では図書館から学校へ司書が派遣されていること、それぞれ担当校が決まっているため、担当の学校に応じた町の図書館資料の提供がすばやくできるとのこと。また、小学校のほか保育園へも学級ごとに本の宅配を行って、環境を整えている。また、町内一斉のノーメディア週間に合わせて本の展示を図書館で行い、その際には学校図書館で使えるもう1冊貸出券を付ける工夫なども行っている。町ぐるみでテレビやスマホ、ゲームではなく読書の時間を増やそうとする取組に参加者は大いに関心を寄せていた。さらに、久米南町図書館ではスタンプラリーや図書館クイズ、貸出0冊の本を探す企画など工夫を凝らしたイベントがたくさん行われており、参加者は大いに刺激を受けた様子であった。また、県内初であり、会当日の7月1日からサービスが開始された読書通帳機についても後の情報交換の時間に質問が相次いでいた。



はやしま本だいすきの会 代表 野村 史子 氏

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 「はやしま本だいすきの会のあゆみ」と題し発表いただいた。「はやしま本だいすきの会」は早島町立図書館を活動の拠点に「子ども達と地域の人々が読書の楽しさと喜びを体験できるよう援助する」ことを目的に平成6年より活動を続けているボランティア団体である。図書館では毎月行っている「かみしばいのじかん」(紙芝居と絵本の読みきかせ、工作など)のほか季節ごとの催しも行っている。季節ごとの催しでは、おはなし会で使った絵本や関連本の紹介のほかにその季節にあったお薦めの本のブックリストを作成配布しており、丁寧な活動に参加者は感心した様子であった。また、幼稚園・保育園での催しのほか、地域のデイサービスやサロンでも積極的に活動をされており、楽しげな様子の写真が紹介されると会の目的が充分達成されていることがよく伝わり、会が地域で読書活動の大切な役割を果たしていることが伺われた。さらに、地域の歴史の掘り起こしとその伝承という活動にも取り組んでいて、子どもが読んでおもしろく分かりやすい資料を自分達で「早島ものがたり」として作成し、既に4冊刊行済みである。地域に根ざした数々の活動に参加者は強い関心を寄せていた。



④情報交換・意見交換

 子どもの読書活動の推進について、参加者同士が情報や意見の交換を行い、自分達の活動を振り返るとともに改善点などを話し合った。地域や立場の違う参加者同士が顔を合わせ、お互いに知り合うことで、今後へとつながるきっかけ作りの場となることを想定したが、時間が短く充分話し合いを深めることができなかったのは残念であった。




(お問い合わせ)   岡山県立図書館 図書館振興課 図書館支援班
          TEL 086-224-1286  FAX 086-224-1208